対訳集について

小学校の算数対訳発刊にあたって  新しい時代を逞しく生きる力、国際社会の中でのびやかに生きる力が求められています。その育成に向けて学校は勿論のこと、多方面から取り組まれていることは周知の通りです。
 川崎市総合教育センターでも、健やかな子どもの育成をめざして様々な取り組みを行ってきましたが、この度、海外帰国児童、外国籍児童がよりスムーズに算数学習が行えるよう、「小学校算数・数と計算対訳集」を発刊することになりました。
 ここ数年、海外で学ぶ小中学生の数は、約5万人という状態が続いており、川崎市に戻る児童生徒の様子からは、低年齢化、滞在年数の長期化の傾向が見られます。
 日本人学校や補習校などが充実してきている一方、滞在国や地域などによっては、現地校での学習だけに頼らざるを得ない児童生徒もいて、帰国後、生活適応だけでなく、学習適応にも十分な配慮が必要な場合があります。また、日本語が分からないで入学、編入学する外国籍児童生徒は、川崎市のみならず日本全国に広がりを見せており、日本語指導、そして学校生活や教科学習に向けて、質の高い指導が求められております。
 日常会話は、学校生活のみならず家庭生活やテレビなどを通しても学ぶ機会が多いのですが、学習用語の習得や教科学習への適応は子どもたちにとって大変大きな壁となっております。
 日常会話は、学校生活のみならず家庭生活やテレビなどを通しても学ぶ機会が多いのですが、学習用語の習得や教科学習への適応は子どもたちにとって大変大きな壁となっております。
 川崎市総合教育センターでは、中国語、ポルトガル語、スペイン語の学校用語集を作成し、日常会話から学習適応への一助としてきましたが、算数は国によっては扱いが大きく異なり、また、積み重ねが重要な教科なので、学習に苦労している子どもたちが多いという声が学校からも寄せられており、今回、小学校の算数の対訳集を作成するに至りました。
 子どもたちの母語も多様化しておりますので言語も中国語、ポルトガル語、スペイン語だけでなく、英語、タガログ語、韓国朝鮮語も加えて六ヵ国語に増やしました。
 この冊子作成にあたって、日本語の部分は川崎市立小学校算数教育研究会、川崎市小学校国際教育研究会から全面的なご支援をいただいて作成し、また、翻訳に際しては、当センターで派遣している日本語指導等協力者の皆様方を中心にご協力をいただきました。なお、図版と内容の一部は、ご理解とご協力を得て、教育出版株式会社発行の教科書から借用いたしております。関係各位に心より感謝いたしております。
 諸般の事情で今回は、小学校算数の中の「数と計算」の領域に限定しての対訳集となりましたが、ご活用いただければ幸いです。
 川崎市総合教育センター
 (前所長) 江 頭 秀 夫(第6代所長)

この冊子の有効な活用に向けて

1.診断的機能
 海外の学校で、現地に言語で学習してきた子どもたちの場合、一部のアジアの国を除くと、カリキュラムに大きな違いが見られます。そこで、これまでにどのような学習をしてきているかを診断し、今後、どのような学習に取り組ませたらよいということについて、手掛かりをつかむことができます。
2.個に応じた課題提示
 初期の日本語が分からない段階でも、診断に基づいて、計算問題などは類似した適切な課題を与えることができます。また、日本語を習得しつつある段階では、類似した文章題を提示して、出題内容の理解に役立てることができます。そのためにも教科書の流れに添い、図版等も一部借用してあります。
3.算数の学習用語を習得する手掛かり
 現地校での学習歴がある子どもたちは、現地語で算数特有の学習用語をある程度習得しています。日常会話では習得しにくい教科特有の重要なことばは、傍注に「ことば」として対訳してありますので、母語で理解した学習用語を日本語に置き換えるのに役立ちます。
4.母語による表現や学習用語習得の手掛かり
 日本で生まれたり、幼児期に日本に来ていて日本語に不自由はしないが、やがて母国に帰国する予定の子どもたちにとっては、母語での表現や学習用語を理解するのに役立ちます。この場合、ご家庭の協力が大切になると思います。
 なお、受入れ後の指導を考えると、早期に算数の学力を診断したいのですが、子どもたちは不安な気持ちで登校してきていると思います。テストされているという印象を持たせてしまうと、その不安はさらに増幅されかねません。焦らず、楽しみながらやってみるような雰囲気を大切にしていただきたいと思います。
 また、本文中の問題には学年を記述してありません。これは、子どもたちに日本の学校の何学年のレベルかを知って劣等感を持たせないために、意図的に削除してあります。指導者用には単元一覧表を別に添えてありますので、それでどの学年のどのような内容を理解しているかを判断してください。
 紙面の都合で、この冊子に直接式や答えを書き込めるスペースがあるのは、1〜2年生分だけです。ご了解ください。

 執筆者一同

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