(4)確かな学力とIT活用 4/12
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文部科学省「学びのすすめ」

文部科学省の「確かな学力の向上のための2002アピール『学びのすすめ』平成14年1月17日」のなかで「確かな学力」の向上のために、指導にあたっての重点を明らかにした5つの方策を次のように示した。
  1. きめ細かな指導で、基礎・基本や自ら学び自ら考える力を身に付ける

    少人数授業・習熟度別指導など、個に応じたきめ細かな指導の実施を推進し、基礎・基本の確実な定着や自ら学び自ら考える力の育成を図る
  2. 発展的な学習で、一人一人の個性等に応じて子どもの力をより伸ばす

    学習指導要領は最低基準であり、理解の進んでいる子どもは発展的な学習で力をより伸ばす
  3. 学ぶことの楽しさを体験させ、学習意欲を高める

    総合的な学習の時間などを通じ、子どもたちが学ぶ楽しさを実感できる学校づくりを進め、将来、子どもたちが新たな課題に創造的に取り組む力と意欲を身に付ける
  4. 学びの機会を充実し、学ぶ習慣を身に付ける

    放課後の時間などを活用した補充的な学習や朝の読書などを推奨・支援するとともに、適切な宿題や課題など家庭における学習の充実を図ることにより、子どもたちが学ぶ習慣を身に付ける
  5. 確かな学力の向上のための特色ある学校づくりを推進する

    学力向上フロンティア事業などにより、確かな学力の向上のための特色ある学校づくりを推進し、その成果を適切に評価する

文部科学省「ITで築く確かな学力 〜その実現と定着のための視点と方策〜」

また、同省の『ITで築く確かな学力 〜その実現と定着のための視点と方策〜 平成14年8月28日』初等中等教育におけるITの活用の推進に関する検討会議報告書のなかでも前述の「学びのすすめ」に対応する形で、「確かな学力」の向上を図る観点から、ITはいかなる教育効果を発揮し得るかについて次の7点を挙げている。
  1. 基礎・基本の確実な習得
    • 抽象的な概念や思考過程を視覚的に示すことにより、イメージを抱かせる授業を実現し、子どものつまずきを克服する
    • 一人一人の理解度等に応じた双方向的できめ細かなプログラムにより、基礎・基本の確実な定着を実現する
    • データ分析など時間のかかる作業を簡単かつ効率的に行うことにより、結果に基づいて子どもに考察させる授業を実現する
  2. 子ども一人一人の力の伸長
    • 一人一人の個性や能力等に応じたプログラムやインターネットの活用により、個に応じた主体的、多様な学習を実現する
    • 遠くにいる様々な専門家と連携・協力による指導を通じ、魅力ある発展的な学習を実現する
  3. 学ぶ楽しさの実現と自ら学ぶ意欲の向上
    • 実際に目にし難い内容を実物のように示すことにより、動きのある授業を実現し、学ぶ意欲を引き出す
    • 生きた豊富な情報を活用することにより、受け身にならず、学ぶ楽しさを実感できる主体的な学習を実現する
  4. 思考力、判断力、表現力の育成
    • 相手や目的に応じた多様な表現手段を用い、論理的な思考力や実践的な表現力を高める
    • 学級や学校の枠を越えた共有・交流を通じ、他と学びあいながら、多様なものの考え方を知り、自らの考察を高める
  5. 学び方、問題解決能力の育成
    • ITの適切な活用を通じ、情報を適切に活用するために必要な理論や方法を身に付け、情報を主体的に選択・活用・発信できる力を身に付ける
  6. 創意工夫を生かした質の高い授業づくり
    • 子どもの興味・関心などを引き出し、学習理解を深める魅力的な教材づくりにより、創意工夫を生かした授業を実現する
    • 学校の枠を越えた教員間のコミュニケーション、情報の共有を通じ、教員間の連携を深め、よりよい授業づくりのヒントを得、より質の高い授業を実現する
    • 蓄積・共有された教材を効率的に活用でき、魅力ある授業を実現するとともに、子どもと触れ合う時間を確保する
  7. 障害のある子どもの障害に基づく種々の困難の改善・克服と、社会とのコミュニケーションの拡大
この7項目は、授業におけるIT活用の道筋を示したものであり、本研究でIT活用方法を開発する上での具体的な指針とした。
学力については、平成14年度川崎市総合教育センター教育課程編成研究会議「教科における基礎学力の育成を目指して」の研究報告書の中で「生きる力と学力の構造」として、次のように示された。
生きる力と学力の構造
図4 生きる力と学力の構造
  (平成14年度川崎市総合教育センター教育課程編成研究会議報告書より)
同報告書では、「教科における基礎学力」を「知識を獲得する力」と、そこから「獲得される知」と考え、「知識を獲得する力(資質・能力)」として関心・意欲・態度、思考力・判断力、技能・表現力、「獲得される知」として知識・理解・技能を考えた。「獲得される知」は、知識・理解・技能の獲得を最終目的とするのではなく、その知識・理解・技能が次の学習に生かされていく、また、新たな発見を生み出していくというように、変化していくものと考えた。また、「知識を獲得する力」と、そこから「獲得される知」を意識的に分けているが、教科における基礎学力はこれらの相互関係のなかにあると考えた。
本研究では、「確かな学力」について次のように考察した。

「確かな学力」は生きる力を「知」の側面から見たものである。「学力」に“確かな”という修飾語が付いた「確かな学力」は、上記報告書の学力と異なるものではなく、児童生徒に生きて働く力を身に付けさせることが重要であるという強い意志が込められたものである。

そこで、図4にある「教科における基礎学力」をより確かなものにするために各教科等では、指導方法の工夫・改善が行われている。その一つの手立てとしてIT活用を考えていく。
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